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写真による姿勢分析の精度はどこまで?測り直しでそろう項目は多く、正しさの証拠はまだ少ない

PoseAlign · 更新日

スマホで撮られる人の横に、点が中心からずれて集まった的と、中心に集まった的が並ぶイラスト

スマホ写真による姿勢分析は、撮影条件をそろえれば、測り直しても近い値が出る項目が多いことが研究で示されています。一方で、その値がX線や3次元動作解析とどれだけ一致するかは証拠がまだ限られ、項目、服装、体に目印を貼るかどうかで結果は大きく変わります。アプリの説明や比較記事には「高精度」という言葉がよく出てきますが、ここでは論文の数字を、対象者の数や撮影条件とあわせて紹介します。

「精度」には2つの意味がある

  • 信頼性(再現性):同じ人を測り直したとき、または別の人が測ったときに、同じような値が出るか。
  • 妥当性:その値が、X線や3次元動作解析など基準となる方法の値とどれだけ一致するか。

信頼性の研究ではICC(級内相関係数)がよく使われ、1に近いほど値がそろうことを意味します。よく使われる目安では、0.5未満は低い、0.5〜0.75は中程度、0.75〜0.9は良好、0.9を超えると非常に高いと解釈します(Koo and Li, 2016, Journal of Chiropractic Medicine)。信頼性が高くても妥当性が高いとは限りません。毎回同じだけずれて測る道具は、再現性は高くても本当の値とは一致しないからです。

2つの的の図。左は点がまとまっているが中心からずれ、右は点が中心にまとまっている
毎回同じだけずれる測り方は、再現性が高くても正しい値とは一致しません。

再現性:条件がそろえば高い項目が多い

写真で姿勢を測るスマホアプリの研究を集めた2025年の系統的レビューは、29件の研究(参加者1,910人)を分析しました(Karbalaeimahdi et al., 2025, Scientific Reports)。横から見た頭の位置の指標である頭蓋脊椎角(CVA)では、測り直しの一致度がICC 0.904、評価者どうしの一致度がICC 0.889とまとめられています。ただしこの2つの数字は、29件のうち2件の研究(合計86人)を統合した値です。正面から見た腰の傾き、頭の傾き、肩峰の並びなどの項目は、項目と信頼性の種類によって中程度から非常に高いまで幅がありました。

同じレビューは、個々の研究の参加者が少なく、方法も誤差の報告のしかたもばらばらだと限界を挙げています。

項目によって差がある

上半身の角度を写真で測った21件の研究をまとめた2017年のレビューでは、横から見た頭蓋脊椎角などの角度は評価者内で中程度から高い信頼性、評価者間で高い信頼性がありました。一方、正面から見た頭の傾きや肩の角度については、評価者間の信頼性や妥当性を調べた研究が見つかりませんでした(Singla et al., 2017, Journal of Chiropractic Medicine)。

ずれの距離と角度でも差があります。姿勢評価アプリPostureScreen Mobileを健康な若い成人20人で調べた研究では、評価者どうしの一致度が、ずれを測る項目でICC 0.85〜0.99、角度を測る項目でICC 0.66〜0.98でした(Szucs and Donoso Brown, 2018, Journal of Physical Therapy Science)。いちばん低い0.66は頭の後方への傾きの角度で、上の目安では「中程度」です。この研究は体に反射マーカーを貼り、薄着で撮っているので、家庭のセルフチェックより条件がよい点に注意が必要です。

正しさ(妥当性):基準となる方法とはずれることがある

50人の男性を対象に、iOS版のPostureScreen Mobileの測定値を3次元動作解析システム(VICON)と比べた研究では、正面から見た頭・肩・腰の傾きやずれ、横から見た肩・腰・膝のずれでアプリの値に偏りがありました。VICONと同程度だったのは、正面と横から見た頭のずれだけです。著者らは、高い正確さが必要な場面では慎重に使うよう勧めています(Hopkins et al., 2019, Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics)。前の章の2025年の系統的レビューでも、正面から見た腰の傾きの妥当性は、統合した40人分のデータでICC 0.462にとどまり、統計的に有意ではありませんでした。

横から見た頭の角度でも、X線との関係については見方が分かれています。2017年のレビューは頭蓋脊椎角をX線の角度と対応する妥当な指標とした一方、X線を使わない方法をまとめた2022年の系統的レビューは、妥当性について「証拠は決定的ではない」としています(Mylonas et al., 2022, Cureus)。詳しくは頭部前方位姿勢の角度の記事で説明しています。写真で測る値は体の表面から見た姿勢で、骨の位置を直接見るX線の代わりにはなりません。

服装とマーカーで、結果はどれだけ変わる?

PostureScreen Mobileを10人で調べた別の研究では、服を着たままより薄着のほうが評価者どうしの結果がそろい、特に肩先や肋骨など上半身の目印を使う項目で差が出ました。骨盤の前の出っぱりや大転子など外から見えにくい目印を使う項目は一致度が低く、正面から見た腰の傾きは、薄着でも評価者どうしの一致度が特に低いままでした。著者らは、薄着で撮るよう勧めています(Boland et al., 2016, Journal of Physical Therapy Science)。

マーカーの有無の影響が大きかった研究もあります。2025年の系統的レビューの表に載っている1件の研究(NLMeasurerというアプリ)では、体にマーカーを貼った場合の評価者どうしのICCが0.749〜0.975だったのに対し、マーカーなしでは0.037〜0.816まで下がりました。家庭で撮る写真はたいていマーカーなしなので、目印が見えやすい服と撮り方がいっそう重要になります。撮り方は姿勢チェック用の写真の撮り方にまとめています。

AIが自動で点を置く場合

最近の姿勢分析アプリの多くは、人が写真に点を打つのではなく、AIが関節などの位置(キーポイント)を推定します。Googleの姿勢推定モデルMediaPipe Poseを、健康な成人24人の40秒間の静止立位で、マーカーを使う基準システムと比べた研究では、2次元のモデルは正面からの分析で全体として非常に良好でしたが、一部の角度には限界がありました。画像から3次元の姿勢を推定するモデルでは、複雑なモデルほどゆがみが大きくなり、著者らは3次元の推定を数値での姿勢評価に使うことに慎重な姿勢を示しています(Ferraris et al., 2025, IEEE Access)。

52人の腕の関節の角度をスマホ写真とAIモデルで測り、角度計と比べた研究では、最も成績のよいモデルでも、10種類の動きのうち8種類で誤差(二乗平均平方根誤差)が10°未満という水準で、肘を曲げる動きでは不十分でした。著者らは、遠近によるゆがみ、照明、1台のカメラで撮ること、ポーズの複雑さが結果に影響しうるとし、測定者が画像を確かめて調整する役割は欠かせないと述べています(Moreira et al., 2024, Sensors)。自動で点が置かれても、写真に重なった点が正しい位置にあるかを自分の目で確かめる必要があるということです。

研究でわかっていること・まだわかっていないこと

わかっていることまだわかっていないこと
条件をそろえれば、再現性が高い項目が多い家庭で、マーカーなし・普段着で撮った場合の信頼性
横から見た頭の角度は研究が多く、再現性も高い正面から見た角度の多くの妥当性
薄着やマーカーで、評価者どうしの一致度が上がるアプリごとの計算方法の違いが結果にどれだけ影響するか
基準となる方法と比べると、項目によっては偏りが出る写真の数値と、痛みや体の不調との関係

PoseAlignの数値をどう扱うか

PoseAlignは、写真から検出したキーポイントをもとに測定値を推定するアプリです。PoseAlignは精度の検証結果を公開しておらず、精度を数字で示すことはしていません。各測定値の計算方法も公開していないため、上の研究の数値をPoseAlignにそのまま当てはめることはできません。研究から言えることを使い方に当てはめると、次のようになります。

  1. カメラの高さと距離、服装、立ち位置、横向きの向きを毎回そろえる。
  2. 体の輪郭がわかる服で撮る。
  3. 数値を見る前に、写真に重なったキーポイントが頭、肩、腰、膝、足首に合っているかを確かめ、ずれていれば撮り直す。
  4. ネットで見かける「正常値」やほかのアプリの数値とは比べず、同じ条件で撮った自分の前回の結果と比べる。
  5. 1回の小さな変化より、何度か続けて同じ方向に動いているかを見る。

レポートの各項目が何を表すかは姿勢分析レポートの見方で、自宅でのチェック全体の流れは自宅で姿勢をチェックする方法で説明しています。PoseAlignは医療機器ではなく、医学的な診断はできません。

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